分配によって電波が弱まり、ブロックノイズや映らない原因になるケースはとても多いです。そんなときに活躍するのがブースター(増幅器)です。
アンテナ工事15年以上の経験から、ブースターの仕組み・分配数別の選び方・自分の部屋だけに取り付ける簡易ブースター・設置場所の見つけ方・具体的な設置手順をまとめて解説します。
📋 この記事でわかること
- ✔ブースター本体・電源部(PS)の構造と役割
- ✔ブースターが必要かどうかの判断基準
- ✔分配数別の出力利得の選び方
- ✔自分の部屋だけに簡易ブースターを取り付ける方法
- ✔ブースターの設置場所の見つけ方(天井裏・ユニットバス・弱電集合盤・マスト)
- ✔設置手順と過増幅の対処法
ブースターの構造:本体と電源部(PS)を理解する
ブースターとは電波の増幅器のことです。電波が弱い場合に取り付けることで、テレビの安定視聴を実現します。一般的な家屋では地デジを安定視聴するためにブースターが必要なケースが多く見られます。
地デジブースターは種類によって細部は異なりますが、基本的な構造はほぼ同じです。最も多いのは「増幅部本体」と「電源部(PS)」が分かれているタイプです。電源部をブースター本体と勘違いしている方が非常に多いので、まずここを押さえてください。
TOSHIBA THC-77FB2(ブースター増幅部本体)
蓋を開けた状態。右側の白い部分がPS(電源部)
写真のブースター(TOSHIBA THC-77FB2)のスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応周波数 | 70〜770MHz(UHF/VHF両対応) |
| 標準利得 | 24〜28dB |
| 定格出力 | 95dB |
電源部(PS)の切り離し配線
ブースターを分配器の近くに設置する場合、その場所にコンセントがないケースがよくあります。そのときは電源部(PS)を切り離して、コンセントがある部屋の電通ラインのテレビ端子に接続することで電力を供給します。
電源部(PS)を切り離した状態
テレビ端子まわり。コンセントやワンタッチプラグが接触不良になると家中が映らなくなる
ブースターが必要かどうかを判断する
ブースターは電波を増幅しますが、ケーブルの接触不良やアンテナ向きズレはブースターで解決できません。まずアンテナレベルを確認して、本当にブースターで解決できる問題かを判断します。
ブースターが有効なケース ✅
- ▶テレビを増台してからノイズが出た
- ▶増築・リフォーム後に特定の部屋だけ低い
- ▶全部屋でレベルが低め(44〜54程度)
- ▶4分配以上で全体に電波を届けたい
ブースターで解決しない ⚠️
- ×ケーブルの接触不良・折損が原因
- ×アンテナの向きズレ・破損
- ×B-CASカードの接触不良
自分の部屋だけにブースターを取り付ける方法
増築したり、ブースターから自分の部屋までの距離が遠いと、その部屋だけ電波が弱くなってブロックノイズが出ることがあります。このような場合、宅内全体のブースターを交換する必要はありません。
その部屋の壁端子〜テレビ間に「簡易ブースター(卓上型)」を挿入するだけで解決できます。設置は最も簡単で、工事不要・コンセント不要のタイプも多くあります。
ブースターを選ぶ際の確認ポイント
- UHF帯域(470〜710MHz)に対応しているか確認する。「UHF」と記載があれば問題なし
- BS・CSも使っている場合は「UV+BS/CS混合対応」タイプを選ぶ(地デジ専用を入れるとBSが映らなくなることがある)
- 1部屋だけなら簡易ブースター(8〜20dB)で十分。電波が強すぎても映らなくなる(過増幅)ため注意
- 全部屋が対象なら分配数に合わせた屋内ブースターを分配器の前に設置する
簡易ブースターの取り付け手順
- 部屋の壁のアンテナ出力端子からケーブルを抜く
- 抜いたケーブルをブースターの「入力(IN)端子」に接続する
- ブースターの「出力(OUT)端子」からテレビへ接続する
- コンセントが必要なタイプは電源を入れる
- アンテナレベルを確認して改善されているか確認する(目安54〜70)
分配数別のブースター選び方【早見表】
宅内全体にブースターを設置する場合、出力利得(増幅量)は分配数に合わせて選ぶのが基本です。
分配数が増えるほど電波ロスが大きくなるため、より高出力のブースターが必要
分配と電波ロスの目安
| 分配数 | 理論損失 | 状態 |
|---|---|---|
| 2分配 | 約3dB | レベルが約半分に低下 |
| 4分配 | 約6dB | ブロックノイズが出始めやすい |
| 8分配 | 約9dB | ブースターなしでは受信不可レベル |
| 直列端子(経由) | 約3〜5dB/端子 | 端子の数だけ損失が累積 |
ブースターの設置場所はどこか
全部屋のテレビが突然映らなくなったとき、原因の多くはブースターの故障または電通ラインのショートです。ブースターの場所があらかじめわかっていると原因の切り分けがとても速くなります。自分で確認・交換する場合も、まず場所を把握することが大切です。
基本的にはブースターは分配器の近く、または分配器よりアンテナ側にあります。以下の4か所を順番に確認してください。
① 天井裏(最も多い)
2階建ての一般的な一戸建てであれば、2階の天井に点検口が1つ以上あります。点検口を開けると手の届く位置にブースターがある場合が多く、分配器もかならず天井裏にあります。まれに天井裏に少し登って探す必要があります。
② ユニットバスの点検口
最近の新築一戸建てはこのパターンが最も多いです。ユニットバスの点検口の中に分配器があり、ブースターもここに設置されています。分電盤やブレーカーがユニットバス付近の脱衣所にある家が多いため、このあたりに集約されているケースが多くなっています。
③ 弱電集合盤(情報分電盤)
最近増えているのが「弱電集合盤」に分配器もブースターもまとめて設置してあるパターンです。テレビ配線・電話・LANケーブルがすべてここに集約されています。集合住宅の盤とは少し違いますが、一般家庭でも同様の集合盤が普及しています。
④ アンテナマスト(昭和の住宅)
昭和の住宅では屋根のアンテナポール(マスト)にブースターが直接取り付けられているケースが多くありました。屋外設置のため経年劣化が早く、古い住宅で原因不明のトラブルがある場合はマストを確認してみてください。
宅内全体への屋内ブースター設置手順【5ステップ】
上記の配線全体図のように、ブースターはアンテナ〜分配器の間(分配器の直前)に設置します。
上図はフレッツテレビなどを想定した配線例。アンテナの場合はアンテナからすぐブースターに接続する形になる
設置前後でアンテナレベルを記録しておくと効果の確認がしやすい
STEP 1|現在のアンテナレベルを全部屋で記録する
→ メーカー別アンテナレベルの確認方法
STEP 2|分配数・用途に合ったブースターを選ぶ
STEP 3|分配器の直前(アンテナ側)に増幅部を設置する
⚠️ ノイズも一緒に増幅されるため、ケーブルの接触不良は先に解消してください
STEP 4|電源部(PS)をコンセントに接続する
STEP 5|アンテナレベルが54〜70の範囲に入っているか確認する
過増幅に注意|強すぎてもノイズが出る
ブースターを設置したのにノイズが改善しない・むしろ悪化したというケースの多くは過増幅(電波が強すぎる状態)が原因です。
| アンテナレベル | 状態 | 対処 |
|---|---|---|
| 〜44 | 電波不足 | ブースター増設・ゲインアップ |
| 54〜70 | 良好 | そのまま維持 |
| 70以上 | 過増幅 | ゲインを下げる・アッテネーター追加 |
よくある質問(Q&A)
まとめ
ブースター選び方・設置まとめ
- まずアンテナレベルを確認して「全部屋か1部屋か」を判断する
- 1部屋だけなら簡易ブースターを壁端子〜テレビ間に挿入するだけでOK
- 全部屋なら屋内ブースターを分配器の直前に設置する
- 分配数に合った出力利得を選ぶ(4〜6分配:30dBで十分)
- BS・CSも使うならUV+BS/CS混合タイプを選ぶ
- ブースター設置前にケーブルの接触不良を先に解消する
- 設置後レベルが70以上なら過増幅→ゲインを下げる
- ブースターの場所は天井裏・ユニットバス点検口・弱電集合盤・マストを確認
- 電通ラインのコンセント・ワンタッチプラグが抜けると家中が映らなくなる

コメント